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LIFE SIZE II / GEEK DATE:2008/12/17 PRICE:2,415yen LABEL:KSR TRACK LIST
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『Concrete Green』シリーズへの参加を足がかりに、昨年春にはグループ初のアルバム『LIFE SIZE』をリリース。その後も餓鬼レンジャーのポチョムキンのプロデュース ・アルバムへの参加や、SEEDA、SD JUNKSTA周辺作をはじめとするOKIが中心となった数々の客演ワーク、さらには今年2月のOKIのソロ・アルバム『ABOUT』発表と、昨年来グループ内外でリリースを加速させてきたGEEK。
せきを切ったようなその活動は、OKI、SEI-ONE、DJ EDOのメンバー3人がこれまで数多くこなし、 日々増え続けるライヴの積み上げを、より広く大きな声援へと変えていくものに他ならない。
そして、そのモチヴェーションの高さはますますもってGEEKを駆りたて、新たな曲の一つ一つへと導いていく。ここに完成したGEEKの新作『LIFE SIZE
II』は、タイトルこそ前作に続くものだが、中身は前作をなぞって 終わる続編アルバムではない。
自分たちのルーツをたどるかのようなサンプリングのビート群をほぼ全編に配し、クラシカルな風合いをたたえた前作から(さらには、音の広がりとともに全体をスケールアップさせたOKIの『ABOUT』も踏まえてか?)トラック群はますます多岐に広がり、アルバムとしての表情はぐっとふくよかになった。
加えて、自らの心情や身の上を軸にしながらもそこを越えてダウンロード全盛の風潮、果ては血液型にまつわるネタなどにまで放つテーマの広がり。OKI、SEI-ONEの前作以上にバランスよいヴァースの分け合いぶり。
さらにはラインの語尾に英語のRの発音をかぶせたり、言葉を引きずるようなフロウの遊び一つ一つ。
これら全ては、GEEKの音楽がいい意味でよりシンプルなエンタテインメントとしても実を結びはじめたことをうかがわせる大きな要素となっている。
NORAのビートメイカーFUEKISS!!との意外なタッグによるエレクトリックなビートの"Chees"は、軽やかなラップとともに、そうしたアルバムを予告する最高の幕開けだ。
この曲をはじめとする晴れやかな楽曲がアルバムの陰陽の陽を飾るとすれば、夢を追い続ける終わりなき道のりを語る"Pipe dream"といった楽曲
はアルバムのもう一方を飾るもの。
穏やかなビートに合わせた素顔のラップで語る同曲は、グループの人間性を温かく伝え、彼らの身の丈を伝える最たるものとして響くだろう。
「大したことねーが色々あんだよ」――OKIは先のソロ・アルバムでそう歌ったが、「色々ある」先でGEEKは音楽を楽しみ、それをまっとうしている。
『LIFE SIZE II』は前作以上にそれが形となった。 GEEKのライヴを一度でも見たことがあれば、ライヴ運びのうまさと併せてステージ中の彼らの軽妙なやりとりを知ってるはず。
このアルバムはそうした彼らの姿ともよりダブってくる。日々の生活に光も影もあるように、GEEKの音楽にも光も影もある。
影とともに放つ光がよりまばゆさを放ち始めたこの『LIFE SIZE II』を彼らがライヴでどう見せてくれるか、今から楽 しみになってきた。